ウサギとヒナ 第三話 ウサギのしっぽ

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 ヒナが俺の誘いに乗ったのには、理由があった。
 二軒目のバーで彼女は、とんでもないことを口にした。

「十年前、会おうって言ったのに、待ち合わせ場所に行かなかったのは、私です」

 信じられなかったが、彼女からサイトの名前が出てきたので、本人だと認めるしかない。
 彼女の話では、当時、自分は高校生ではなく中学生で、嘘がばれるのを恐れて、会いに行けなかったらしい。
 まあ、確かに中学生が来たらさすがにビックリはしただろうな。

 しかし、十年前、俺が恋していた相手が、中学生だったとは想像もしていなかったよ。
 今日ここに来たのも、謝りたかったってことか。
 急に自分のことが恥ずかしくなった俺は、どうしたら許してくれるかと聞くヒナに向かって、つい、大人気ないことを口にした。

「もう未成年じゃないんだし、大人の償い方って言ったら分かるよね」

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