セール当日、河合ヒナを見た瞬間、落胆した。違う、俺の知っているヒナじゃない。若過ぎる。
それなのに、俺は河合ヒナが気になって仕方なかった。視線で追いかけてしまうほどに。
俺は小さく首を横に振った。これはもう思い切って声を掛けるしかないな。
「ヒナちゃん、こっち来てくれる?」
俺は、会話しながら相手の反応を探った。
ノリは悪くない。
河合ヒナと話していると錯覚を起こしそうになる。
まるでSNSであの子とメッセージを交わしているみたいに楽しい。
もっとゆっくり話をしたいが、これからセールが始まろうとしている。
閉店まで客の対応、売り場の補充に追われることになるだろう。
それならと、さりげなく飯に誘うことにした。ヒナの快い返事に口角が上がる。
うちのメンバーに知られると面倒だな。一緒に行くって、言い出しかねない。
邪魔されたくないし、口留めしておくか。
「みんなには、内緒な」
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