部屋へ戻るといつ頼んだのか、ウサギさんがワインをグラスに注いでいた。
「飲む?」
渋い味がする。苦手かも……。
一口だけにしておこう。
グラスをテーブルへ戻すと。
「美味しくなかった?」
「あ、いえ……。あまり飲まないから、よく分からな……」
抱き寄せられ、唇が重なる。初めてのキスはワインの味。絡みつく舌とワインで酔いそうだ。
「俺もシャワー浴びて来る」
ウサギさんが浴室へ向かうのを笑顔で見送った後、ベッドへダイブ。
どうしよう、キスだけで、めっちゃ緊張した。これ以上はとてもじゃないけど出来る気がしない。
むっくり起きて、ワインボトルに手を伸ばす。もっと飲めば落ち着くかもしれない。
その後のことは全く覚えていない。
目が覚めたら朝で、部屋にウサギさんの姿はなく。
「初めてのエッチだったのに、記憶の欠片もないなんて……」
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