おずおずとドライヤーを差し出す。彼は自分の前に座れと、床をポンポンと叩く。
「早く来い。風邪引くぞ」
「やっぱり、自分でします」
遠慮しようとしたら、腕を掴まれ引き寄せられた。
私のお尻はすっぽりとウサギさんの足の間に収まっている。
「ううう、宇佐見さん」
「いいから、じっとしてろ」
「は、はい」
ブオォォォ、ドライヤーの風とウサギさんの指が私の髪に絡む。
誰かに髪を乾かしてもらうのって、気持ち良いな。至福の時間と言えるかも。
「癖になりそう」
ふわりと私の体が浮く。そしてウサギさんの膝の上で横抱きにされた。
「彼女になったら、もっと色々してやるよ」
本当に? 振り返り、疑いの眼差しを向ける。
「信じられません。電話もLIMEもしてこなかったくせに。大阪出張だって教えてくれなかった。今日だって、お昼食べたら、じゃあって……」
ウサギさんはにっこり笑って、私を抱きしめる。頭にキスが落ちてきて、ドキッとした。