ウサギとヒナ 第二話 繋がる糸

小説
Pocket

「ごちそうさまでした」
「どういたしまして」

 大満足でお店を出た。そしてハッとする。ヒレカツとエビフライに夢中になってすっかり忘れていたけど、私のモヤモヤは解決していない。
 横断歩道、信号は赤。今なら、話せるかも。

「あの」
「俺、ちょっとコンビニ寄ってくわ」
「えっ」
「じゃあ、また」

 私に背を向け、すぐ側のコンビニへ向かって歩き出す。
 じゃあって、じゃあって。
 置いてきぼり食らったわんこの気分なんですけど。

 そしてその夜も私はスマホを片時も離せなくて。
 ひょっとしたら、夜も誘われるかも、って心のどこかで思っていた。
 でも電話も鳴らない、メールもLIMEも届かない。日帰り出張、だったのかな。
 それとも、会社の人や取引先と飲みに行っているのかも。

「あーもうっ。考えるのは、やめよう」

 お風呂に入って、身も心もスッキリさせよう。そう思ったのに、心は全然スッキリしなかった。

「ウサギさんのあほ。もう絶対、振り回されないから」

小説更新、諸々のお知らせはtwitterで

PVアクセスランキング にほんブログ村