ウサギとヒナ 第二話 繋がる糸

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「みんなが見たら変に思います。部署も違うし、関わりもないのに」
「関わり? あっただろ。セール支援。そこで顔見知りになった若い新人に飯を奢る、別におかしくないと思うけど」

 うっ、と私は言葉を詰まらせた。勝ち誇ったような顔が近づく。

「でも、でも……。二人だけで行くのはちょっと」
「別に社食でもいいんだよ。二人で食べられるなら」

 社食? 私は大きく目を見開いた。この人、何を言っているの? 
 そんなところで食べたら……。想像しただけで身震いがする。

「そんなことしたら、注目浴びてしまうじゃないですか」
「だったら、外で決まり」

 時間がないから、トンカツ屋でいいよな。そう言ってウサギさんは私の手を握って横断歩道を歩きだす。
 会社の前なのに、こんな堂々と。これじゃあ、まるで恋人みたいだよ。
 誰かに見られたらどうするの? 見られても平気ってこと? 
 
 どうしよう、私。すごく、ドキドキしてる……。

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