ウサギとヒナ 第二話 繋がる糸

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「そのうち、手は出すけどね。でも、今日はやらない。そういう訳だから、付き合おうか」
「はい?」

 聞き間違い? 

「俺と付き合おう」

 一瞬、固まってしまった。

「なんの冗談ですか。からかってます?」
「本気だけど?」

 真顔のウサギさんに、私は手を振って拒む。

「宇佐見さん東京に住んでいるんですよ。遠距離ですよ。無理ですよ」

 どう考えても無理だ。続くはずがない。

「週末通うよ? 月一は大阪出張だし、平日は電話とビデオ通話。まあ、それでも寂しくなったら、ヒナが東京異動願い出すってことで」
「なんで私が異動願い出さなきゃいけないんですか」
「だって俺、AUの責任者だよ。異動出来ないでしょ。貿易は東京にもチームがあるし」

 なにそれ。ちょっとカチンときたんですけど。
 そりゃあ、そっちは屋号長だし、管理職だし、重要ポストにいるのは分かるけど。

「私、東京なんて絶対行きませんからっ」

 

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