ウサギとヒナ 第一話 運命の糸

小説
Pocket

 午後を過ぎると少し落ち着いてきたようだ。ワゴンの前へ行き、散乱した商品の整理をする。たたんでも、たたんでも、横から伸びてくる手によって、商品はひっくり返されてキリがない。
 他の売り場の商品が紛れ込んでいる。抜き出して裏へ持って行き、専用の袋へ詰め込む。後でまとめて回収コーナーへ持って行くのだ。
 ラックやワゴンに紛れているのはマシな方。中には酷い客もいて、通路で選り好みした後、要らなくなった商品を詰め込んだショッピングバックをまるごと放置。
 要らなくなった商品はお客様ご自身でお戻しくださいと言っているのに。

 休憩に行くのも大変だ。人で埋め尽くされた通路を縫うように歩かなければならない。
 金曜日の支援は大変だな、と実感するような一日が終わろうとしている。
 館内に蛍の光が流れ、お客様が帰って行く。私たちは明日の準備を済ませ、終礼後に解散。
 
「すごい人だったな」
「疲れたぁ」
「お疲れ様でした」

 ブランド担当者は売上の確認や、明日の打ち合わせと、後処理が残っているらしい。

 私は会場を先に出て、待ち合わせの場所へ向かうことにした。
 

☆彡☆彡☆彡☆彡☆彡
 

小説更新、諸々のお知らせはtwitterで

PVアクセスランキング にほんブログ村