ウサギとヒナ 第一話 運命の糸

小説
Pocket

 どうしてあんな夢を見たのかな。食堂であの人の噂を聞いたから?

「AUの屋号長、ウサギさんになるって本当かな」
「まだ三十一だろ。無理じゃないか。けど、もしなったら若いのに、すごいよな」

 後ろを通る男性たちの会話にドキッとして振り返る。
 今、ウサギさんって。確かに、そう聞こえた。

「ウサギさんて誰のことですか?」

 ランチを一緒にしていた先輩に訪ねてみた。

「ああ、宇佐見さんのことでしょう」
 
 数日後、通達メールが届いた。
 役職変更に噂の人物の名前が掲載されている。

 【新】 屋号長 宇佐見裕也

 彼が私の知っている人かどうかなんて、確信はない。
 たまたまウサギと呼ばれていたから気になっただけ。どんな人か見てみたい、でも屋号長は東京店勤務、大阪へ来るのは月に一度。
 フロアも部署も違うから、そうそう会わない、よね。

☆彡☆彡☆彡☆彡☆彡

小説更新、諸々のお知らせはtwitterで

PVアクセスランキング にほんブログ村