ウサギとヒナ 第一話 運命の糸

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 豚肉のパリッと焼けた香ばしい香りにつられ、隣の席をチラリ。豚玉とシーフードか。うーん、美味しそう。
 目の前のテーブルに備え付けられた鉄板の上を見つめる。まだかな、早く来ないかな。

「ヒナちゃん、もう少しの我慢だから」
「えっ」

 思わず、鉄板から視線を外し、顔を上げる。ウサギさんはニコニコ笑いながら。

「鉄板にかじりつきそうな顔してるよ」

 慌てて背筋を伸ばし、顔を引き締める。みっともない所、見せちゃった。

「す、すみません。お腹空いちゃって」
「うん、腹減ったよね」
「はい。お腹空くとテンションも下がるし、思考回路も停止しちゃいますよね」
「なるほど、覚えておくよ」

 スタッフが湯気の立つ焼きそばを運んできたのが見え、そわそわ。

「おまたせしました、トンちゃんダブルです」

 きたーっ。んー、いい香り。
 ほんのり甘いソース、トンちゃんと呼ばれるホルモンの相性も良い。
 焼きそばってこんなに美味しかったっけ?

「ホルモン入りの焼きそば初めて食べたかも」
「美味しい?」 
「はい、すごく。これ、ほんとやばいです」

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