ウサギとヒナ 第一話 運命の糸

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 レストランビルの中に店を構える、お好み焼き屋さんに連れてきてもらった。

「環状線の駅前に本店があるんだよ。おばさんが気さくで、店の雰囲気も良くて。高校の頃、よく通ってたんだ。本店に行きたかったんだけど、この時間はもう閉まってるから」

 席に着くなり注文した瓶ビールで乾杯。

「今日は支援ありがとう」
「いえ、仕事ですから」
「みんな頑張ってくれたお陰で、今日のノルマも達成したし、やっぱ気分良いな。よし、今日は好きなもの注文していいよ。と言っても、お好み焼きだもんな。知れてるか」
「いえ、ありがとうございます。ご馳走になります」

 そっかぁ、売上げが良かったから上機嫌なんだ。笑顔が可愛いな、嬉しそうにしているウサギさんを見ていると、セールの疲れも吹き飛んじゃうよ。

「何にする?」と聞かれ、メニューを見て迷う。だって、どれも美味しそうなんだもん。
定番も良いけど、モチやチーズ、キムチ入りも捨てがたい。

「ミックス焼き……あーでも焼きそばもいいなぁ」
「じゃあ、どっちも頼めば?」
 
 それは、つまり、分けて食べようという提案ですか。
 嬉しくて目を輝かせ、こくこく頷くと、ウサギさんが手を軽く上げた。

「トンちゃん焼きそばダブルと、ミックス焼き。あと黒枝豆もお願いします」

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