「じゃあ、友だちになってほしい」
「友だち?」
「うん。彼女と別れることがあったら教えて。私、慰めてあげるから」
「俺がフラれると思って言ってるの?」
「そうじゃないけど……。一人になったら寂しいでしょう?」
イケメンさんは、目を丸くさせた後、苦笑い。
自分でも思うよ。どんだけ、押しているんだって。
でもね、結婚している訳じゃないし、その彼女とどうなるかなんて、分からないから。
「すごいね、その強気と粘れる性格。営業にスカウトしたいよ」
「私、営業向き?」
「うん、向いているよ」
「ラーメンお待ちどうさまです」
ドンッとラーメン鉢が二つ、目の前に置かれ。
「熱いうちに、食べよう」
イケメンさんは、割り箸を手にするとパキッと割って、私に差し出す。
「あ、ありがとう」
向かい合わせに座って、ズルズルとラーメンを食べる間も私の頭の中は、どうやったらイケメンさんの連絡先を手に入れられるのか、そんなことばかり考えていた。
「あの、せめて名前だけでも」
「すみません、お水、お代わりください」
「はーい」
「あの」
「伸びるよ」
「イケメンさん、冷たい」
「ごめんね」