モニターに映っているのは、女の人が一人だけ。
私は、ユキ君を睨んだ。
「誰?」
「会社の事務員」
「へぇ。もしかして、酔って部屋に尋ねて来たって子?」
返事をしない、それって肯定ってことか。
私の口元がひくひく。心穏やかでいられない状況。
私は玄関先へ向かった。
「ちょっ、舞、おいっ」
慌てて追いかけてきたユキ君を無視、玄関ドアの施錠を外す。
「舞っ」
ユキ君の片腕が腰に回り、引っぱられた。ガッチリ捕まって、身動きが取れない。
「離してっ」
「何する気だよ」
「開けるの」
玄関先でもめていると、ドア越しに。
「由紀さん、飯島でーす。またきちゃいました。あ、でも、今夜は伊藤君と一緒です。伊藤君も一緒なら、いいですよね?」
「こんな時間に尋ねてくるって、どういうこと? しかも由紀さんって呼ばせて。どういう関係なの?」
「舞、誤解してる」
「誤解だって言うなら、証明してよ、ヨシノリさん」