恋の時間ですよ 第15章 はじまり

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従業員と信頼関係を作りたいから家へ招待する、ユキ君の立場から考えれば、分からなくもない。
会社に近いから、集まりやすいし。
従業員、その中に事務員も含まれている?

「ここにみんなで集まる時って、女の子もくるの?」

「ああ、彼女らが、買い出しや下ごしらえしてくれるから」

ユキ君はモテる。これまでだって、言い寄る女性はたくさんいた。
ユキ君狙いの女子が、今の工場にもいないとは言い切れない。
ユキ君だって男だよ、ぼよよん、キュッの女子社員に迫られたら。
誘惑っ、一人暮らしっ、上げ膳っ、据え膳っ、浮気っ。

「ねえ、酔った女子社員が一人で訪ねてくることもあるの?」

「えっ」

ユキ君が、一瞬、黙り込む。目を泳がせて、うなじを撫でる。
答えにくそうな態度、否定する言葉が出てこない。

「ユキ君っ、まさか」

「ちが、変な誤解すんなって。その……確かに来た。けど、泊めなかったし、タクシー呼んでやったし」

「タクシーが来るまで、どうしてたの。部屋に入れたの?」

その時だった。
ピンポーン、誰かが訪ねて来た。
こんな時間に誰?

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