恋の時間ですよ 第11章 嫉妬

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「寒いよな、これ着て」

それから指先すら出ない大きなダウンコートを私に着せ、私の手を握って歩き出す。

「ユキ君、どこへ行くの?」

そこは近くのコインパーキングで、ユキ君の乗ってきたBMWがとまっている。

「乗って」

助手席のドアを開けられたが、素直に従えなくて。

「でも、店があるし」

「お兄さんがいるだろ」

「でも、みんなまだいるのに」

ユキ君は私の顔をのぞき込み、にっこり笑って。

「放っておけばいいよ」

そう言われてもね。自分の中のもやもやが治まらなくて、私は視線を落とす。

「それで、どこへ行くの?」

「ホテル」

「いきなり、ホテル?」

「舞との時間を誰にも邪魔されたくないから、ホテルが一番いいんだよ。舞は俺の体、触りたくないの?」

そりゃあ、触りたいけど。ユキ君の肌に触れたいけど。スリスリしたいけど。

「好きなだけ触っていいから、機嫌直してよ。頼むよ、舞ちゃん」

「好きなだけ?」

「ああ」

「いっぱい、触っちゃうよ?」

「いいよ」

ギュッと抱きしめられて、私の心が揺らぐ。
あんなにイライラしてたのに。
甘い誘いに、私の機嫌はすっかり良くなっていた。

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