私が不機嫌なのを悟ったようだ、ユキ君がカウンター席へ移動してきた。
一応、気にしているみたいで、ご機嫌伺うような目をしている。
「やばいよ、ユキ君。うちの妹、根に持つタイプだから」
聞こえてるつーの。
「お兄ちゃんっ。無駄口きいてないで、早く焼きそば、お皿に盛ってよ」
「こえーな」
「舞、怒ってる?」
「別に」
「嘘つけ、顔に出てるぞ」
「お兄ちゃんは黙っててよ」
「はいはい。ほら、焼きそば、出来たぞ」
お兄ちゃんが焼きそばの入ったお皿を差し出した。カウンターの外へ回り、お皿を受け取ろうとした時。
ユキ君がお皿を奪い、バスケ仲間の席へ持って行き、鷹羽さんへ押しつけた。
それから私の手首を掴み。
「お兄さん、舞、借ります」
「おー」
私を連れ出した。