白いコートの女性が鷹羽さんとユキ君の間にスッと入って来て、ユキ君の顔を見つめる。
「旦那はいいのか?」
ご主人?この人、結婚してるの?
「今日は、夜遅くまで帰らないから」
私はユキ君の腕を引っ張り。
「知り合い?」
訊ねると、ユキ君はにっこり笑って。
「北工場の事務員で川本さん。彼女、昔、バスケやっていて、練習見学させてくれって言うから」
会社の人だったのか。
「そうなんです。私も仲間とバスケのサークル作ろうかって思っていて。体育館の設備を見たくて、それにユキさんのファンだったから、お願いして見学させてもらったんです」
ユキ君のバスケファン。それで二階席から。
なーんだ、そっか。心配して損した。
「あの、ご一緒させてもらっても」
「お客さんは、多い方がいいもん。勿論、大歓迎だよ」