今日は日曜日、そしてクリスマスイヴのイヴ。明日は振替休日で、お店はちょうど定休日。人生初の恋人と過ごすクリスマスにしては上出来の日程。
なのに、私の心はちょっとブルー。
ユキ君と同棲。
私だってしたいよ、でも、だけど、場所がね。この近所なら全然OKなんだけど、S市はさすがに悩む。店の手伝いも今みたいには出来ないだろうし、何より私が出て行けば、お母ちゃんが一人になってしまう。
じゃあ、同棲を断ったら?
ユキ君は当然、一人暮らし。それはそれで心配。ある日、彼の部屋を訪れたら見知らぬ女性がいました、なんてことが起きらないとも限らない。そうなったら、落ちこむどころの話ではない。ユキ君に限って浮気はしないと思いたいけど、そんな保障どこにある?
「あーっ、どうしたらいいのよ」
「舞、なんか焦げ臭いわよ」
お母ちゃんの声にハッとして、フライパンを見ると煙が。
「えっ、あっ、あーっ、やだぁ。焦げちゃったよ」
うえーん、クリスマスチキンが・・・。
「あんた、最近おかしいわよ。ユキ君とケンカでもした?」
「してないよ。今日だって、夕方からデートだもん」
焦げたチキンは今夜来るお兄ちゃんたちに食べてもらうことにして、もう一度焼き直すことに。生の骨付き鶏のもも肉を用意、軽く塩コショウを振ってフライパンの上に並べた。
まぁ、ユキ君はゆっくり考えればいいって言ってくれたし、今日はそういうの忘れて、クリスマスを楽しむことにしよう。