恋の時間ですよ 第7章 フェティシズム

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「舞があんなことするなんて、思わなかった」

高橋さんのお腹を触ってから、ユキ君はずっとご機嫌斜め。お店が終わってもまだ怒っている、と言うか拗ねていると言った方がいいのかな。大股広げ、椅子の背もたれに向かって座り、口をへの字に曲げ、じとっとこっちを睨んでいる。

「俺以外の男に触れて、しかもうっとりするなんて、どーゆーことだよ」

何回も謝ったのに、しつこいなぁ。謝ってダメなら、開き直ってみる?

「だって、クラッときちゃったんだもん。しょうがないでしょう」

ユキ君はあんぐり、私を指さし。

「開き直るのか、信じられねぇ」

唾を飛ばす勢い。

「分かった、分かりました。私が悪うございました」

「ったく、自分の彼女がこんな浮気者だとは思わなかったよ」

「大袈裟だって。あんまりすごい腹筋だったから、ちょっと触らせてもらっただけじゃない」

自分はどうなのよ。彼女が三人もいたくせにと思っても、口にはせず心の中で毒づくだけ。

「ねぇ、前に言ってなかった?自分の彼女が、他の男と抱き合っていても別に何とも思わないって」

「知らねーな。他の誰かだろ」

「言ったよ」

「なんも聞こえねぇな」

耳に指を入れ、とぼけた顔してる。

「むうっ」

「分かった、もうあいつら、連れて来ねぇ」

 

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