カレーをパクパク食べていると、ふいに人の気配がした。右斜め上を見ると。
「ま、真理さんっ」
握っていたスプーンをポトリ、お皿に落とすくらいビックリ。
真理さんはニコっと笑って。
「隣いい?」
私の隣の席へ腰を下ろした。何とも言えないいい香りがふわり。
既婚者だと分かっていても、見惚れてしまう美しい容姿。オーラの色まで見えそうだ。先輩二人も目がハートになっている。
ほんとカッコいい。至近距離だと恥ずかしくて、直視出来ないや。
「仕事は慣れた?」
「あ、はい。だいぶ」
緊張で声がいつもより高くなってしまう。
「近いうちに、三好に行かせてもらうよ。自分だけ食べてないって穂高が拗ねているんだ。千佐子もトンちゃん焼きそばが食べたいって言うし」
「どうぞ、どうぞ。いつでも来てください」
お母ちゃん、喜ぶだろうな。
「ところで舞ちゃん、ちょっと頼みごとがあるんだけど。これあげるから聞いてくれる?」
そう言って真理さんは、私の目の前にペットボトルのジャスミンティーを置いた。
「頼みごと・・・ですか」