「言いたいこと言ってくれるね、内藤ちゃん」
ウサギさんが指の関節をボキボキ鳴らしながら、内藤さんに詰め寄っていく。壁際まで追い込まれた内藤さんの頬がひくひくしている。
ドンッ。
か、壁ドン。ひゃーっ、ウサギさんが内藤さんに壁ドンしたーっ。自分がされた訳じゃないのに、なんかドキドキしちゃった。
「身内と二人で飯食うことがそんなに悪いことなのか」
「えっ、み、身内?」
内藤さんが顔を上げた。目をパチクリさせている。
「……し、親戚なんですか」
「加藤部長に聞いてみろよ」
「いや、それはさすがに」
すみません、すみませんと、内藤さんは二度、頭を下げ。
「ヒナちゃんも、それならそうと言ってくれたらいいのに。じゃあ、仕事戻っていいよ。呼び出して、悪かったね」
苦笑いしながら会議室を出ていった。