「否定しないところを見ると、そうなんだ」
「えーっ、ショック。絶対、デマだと思ったのに」
「あーだめだ、やる気失せた。仕事したくない」
すっかりダレダレモードになっている。
今、ここで、はいそうですって頷く勇気はない。嘘もつけないし、困った。
「やっぱり噂は本当だったんだ」
「噂って?」
「ウサギさんが女連れでラーメン屋に入っていくのを見掛けたって、食堂で話題になってたのよ。コンビニで待ち合わせていたのを見たって人もいたし。見たことない子だから、新人か、最近転勤してきたばかりの子じゃないかって。まさかとは思ったけど、一応確かめてみようと思って聞いたの」
麻美さんがやる気のない声で説明してくれた。
「噂になるようなことなんですか」
「そりゃそうよ。独身、管理職、イケメンよ。しかも特定の彼女はつくらない、社内の女子は相手にしないって話だったのに」
「どうやって落としたのよ。教えなさい」
どうって言われても……。