報告? なんだろ、伝え忘れていることがあったかな。
こめかみに左手の人差し指を置き、考えてみる。
だめだ、分からない。ここは正直に言おう。とんちんかんな返答するよりいい。
「すみません。分かりません」
奈津江さんが握っているシャーペンをカチカチ鳴らしている。
「すっとぼけないでよ。もうバレてるんだからね」
脅しともとれる口調、思わず唾を飲みこんだ。親切で良い人ばかりだと思ったのは勘違いだったのかな。
「それで、ウサギさんとは、どんな関係なの」
「付き合ってるんでしょう」
ん? 私は顔を上げた。そして両先輩の顔をゆっくりと交互に見る。
仕事の話じゃなくてウサギさんのこと?