ウサギとヒナ 第五話 邪魔者

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 片付けが終わり、キッチンへ行くと、お醤油とバターの香りがした。
 ウサギさんが手にしているフライパンをのぞいてみる。
 シメジとエリンギのパスタだ。醤油とバターもここから香っている。

 隣の片手鍋はコンソメスープがコトコト音を立て、刻んだ野菜を躍らせている。
 ダイニングテーブルではランチョンマットの上でサラダボウルとフォークとスプーンがスタンバイ。
 ワインとオレンジジュースのボトルが早くこっちへおいでと誘っている。

 ウサギさんの「食べようか」の一言に、待っていましたと言わんばかりに席へ着く。

「いただきます」

 パスタをクルクル巻いていると、片付いた? と聞かれ、ちょっと苦笑い。

「はい。でも、ウサギショップの雰囲気を壊したかも」
「ウサギショップ?」
「まるでお店みたいに綺麗だったから。私が引っ越して来たら、バックヤードみたいになっちゃいますよ」
「はは、それはすごいな。でも大丈夫。俺、バックヤードの活用も上手いから」

 だろうな、と思いつつ、パスタをパクリ。美味しい。
 ウサギさんはワインを飲んでいる。広く開放的な部屋で、ランチ。
 目の前にはウサギさんがいて、優雅でステキで贅沢な休日。
 幸せだぁ。

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