ウサギとヒナ 第三話 ウサギのしっぽ

小説
Pocket

 ワインを勧めてみたが、一口飲んだだけ。なぜか、俺が動くたびにビクッと反応する。
 俺は眉間にシワを寄せた。緊張しているのか?

 俺はヒナを抱き寄せ、ワインを含んだ口でキスをした。ヒナの口の中へワインを流し込む。
 その途端、ヒナの体が強張った。演技? それとも……。いや、騙されるな。
 初めてだと、平気な顔して嘘をつく女もいる。

 だが、演技じゃなかったら? 指先まで震えているぞ。本当におびえているんじゃないのか? 
 そんなに怖いなら、なんでついてきた? 俺への罪悪感からなのか。
 俺は、戸惑った。

 少し、冷静になったほうがいい、俺は浴室へ逃げ込んだ。
 欲望はある。その証拠に俺の下半身はすこぶる元気だ。
 だが、こんな形で関係を持てば、彼女の俺への印象は良くはないだろう。人の弱みに付け込む男だと思うかもしれない。

「くそっ、俺はどうしたいんだ」

小説更新、諸々のお知らせはtwitterで

PVアクセスランキング にほんブログ村