ワインを勧めてみたが、一口飲んだだけ。なぜか、俺が動くたびにビクッと反応する。
俺は眉間にシワを寄せた。緊張しているのか?
俺はヒナを抱き寄せ、ワインを含んだ口でキスをした。ヒナの口の中へワインを流し込む。
その途端、ヒナの体が強張った。演技? それとも……。いや、騙されるな。
初めてだと、平気な顔して嘘をつく女もいる。
だが、演技じゃなかったら? 指先まで震えているぞ。本当におびえているんじゃないのか?
そんなに怖いなら、なんでついてきた? 俺への罪悪感からなのか。
俺は、戸惑った。
少し、冷静になったほうがいい、俺は浴室へ逃げ込んだ。
欲望はある。その証拠に俺の下半身はすこぶる元気だ。
だが、こんな形で関係を持てば、彼女の俺への印象は良くはないだろう。人の弱みに付け込む男だと思うかもしれない。
「くそっ、俺はどうしたいんだ」