ウサギとヒナ 第六話 狙われた恋人

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「ちょっと、そこ。もう休憩終わってるだろ」

 東京チームリーダー内藤さんから注意が入り、先輩二人は渋々、自分のデスクへ戻っていった。
 二人とも何もなかったかのように、書類を手にパソコンと向き合っている。

 内藤さんは背が高く、細マッチョ。一昨年結婚して、奥さんは現在妊娠中、春にはお父さんになる。
 私は、斜め前にいる内藤さんを見て、思わず手をあわせた。
 内藤さん、ありがとう。

 それにしてもラーメン食べに行っただけで、噂になるのか。しかもさっき行って帰ってきたばかりなのに。
 こわっ。

 休憩時間に届いたメールをチェックしながら、これからはもう少し注意した方が良いのかな、と思っていると、内藤さんからメールが届いた。

 今から会議室へ来てくれって……。 これって呼び出し?
 どちらともなく立ち上がり、黙って非常扉横の会議室へ入った。
 東西でのテレビ会議でよく使われている部屋だ。テレビで見るより、狭い印象だった。向かい合わせに並べた長机二つとパイプ椅子が六つしかない。

「呼び出して悪いね。さっそくだけど単刀直入に聞くよ」と内藤さんが話を始めた。

「ウサギさんと付き合ってるの?」

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