ウサギとヒナ 第一話 運命の糸

小説
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 ウサギさんの横顔をチラリ。シール張りながら、私はどうやって聞き出そうか考えていた。
 運命の糸ってサイト知ってます? なんていきなり聞くのも変だよね。
 他に確かめる方法……。そうだ、大学。

「あの、東京出身なんですか」
「大阪」
「じゃあ、大学は?」
「K大」

 K大? 私の知っているウサギさんと同じ。
 間もなくお客様が入場されます、と館内放送が聞こえ焦った。
 もう時間がない。もっと話したいのに。

「あのっ、三日間ずっとこっちなんですか」
「うん。でもセールは今日と明日だけ。日曜は店舗を視察して夕方の便で東京に帰る」

 思い切って、誘ってみる? 仕事の後、食事でもって。
 でも相手は屋号長だよ。相手にされないかも。
 お仕事のこと、色々教えてください。業務が違うから、無理あるな。
 うーん、なんて言おう。

「ヒナちゃん、セールの後、予定ある?」
「いえ」
「じゃあ、飯でもどう?」

 勢いよくウサギさんに顔を向けた。

「私とですか?」
「こっち来たら、よく行くお好み焼き屋があって、終わったら食べに行くつもりなんだけど、ヒナちゃんも一緒にどうかなって」
「い、いいんですか。ぜひ、行きたいです」
「じゃあ決まり。会社のやつらに見られると面倒だし、大阪駅で待ち合わせってことで」

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