ママが、百円ライターでタバコに火を点ける。ふーっと吐いた白い煙がゆらゆらしながら消えていく。
「今度、会ったら絶対教えてもらうんだ」
ママがケタケタと笑う。
「今度って、どこで会うのよ」
私は棚からフライパンを取り出し、ママに向きなおる。
「会うよ、絶対」
ママは、タバコを口にくわえたままテーブルの椅子に腰かけ、灰皿を引き寄せた。
「そんなにイケメンなら会ってみたいわね」
だって、確かに排気ブレーキの音が聞こえたの。
一目惚れしたの。
もし彼が運命の人なら、きっとまたどこかで会えるはず。
きっと、また。
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