イケメンさんにもう一度会いたくて、出かける度にあの道を通るようにしているのに。
「なかなか会えないなぁ。たまたま、仕事で通りかかっただけなのかな」
もう、会えないのかな。
「千佐子。お弁当、忘れてるよ」
家の敷地にとめた中型ダンプに乗り込もうとしている私に、ママが巾着をぽんっと投げてきた。
キャッチして、助手席に置き、窓から顔を出す。
「じゃあ、いってくるね」
「気をつけてね」
「はーい」
エンジンをかけ、ハンドルをにぎり、ダンプを発進させ、現場へと向かった。
建設現場で出土した石を、別の場所へ運ぶ。それが今日の仕事。
この仕事していると、女の子って得だなと思うことがある。
「千佐っちゃーん、手伝おうか」
「千佐っちゃーん、ジュースやるよ」
「千佐っちゃん、今度メシ行こうよ。奢るからさ」
現場で働くおじさんは、日に焼けて、色黒で強面の人が多いけど、みんな気さくでとても優しくて親切だ。
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