恋の時間ですよ 第15章 はじまり

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「飯島さん、俺の心配はしなくていいから」

私の手前、何しにきたんだ、って冷たく追い返すのかと思ったのに。

「飯島さんから見れば、俺はまだ若いし、経験も浅いから頼りなく映るかもしれないけど、最近はおっさんらに揉まれて、図太くなってきたんだ。飯島さんたち従業員が一丸となって頑張ってくれているし、俺を支えてくれる彼女もいるし。俺は大丈夫だから」

ユキ君の口調は柔らかい。気遣いすら感じる。
そうか、会社の従業員だから。

「そ……そうですね。余計な心配でした」

「ありがとな。ところで伊藤は? 一緒なんだろ?」

「はい」

「だったら今夜はタク呼ぶ必要ないよな。気をつけて帰れよ」

そう言うとドアを閉めた。

「ユ、ユキ君、いいの?」

「いいよ」

本当に? ドアの向こうが気になるなぁ、なんて思っていると。

「飯島ちゃんっ……。はっはっはっ、人がコンビニ寄ってる間に消えるのやめてよ。はっはっ……心配したんだからな」

息を切らして話す男性の声が聞こえた。

「ごめんね、伊藤君。もう用事済んだから、帰ろう」

「えっ、でも、由紀さんの顔見たいって」

「いいの、もう。ほら、行こう」

◆◆◆

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