恋の時間ですよ 第15章 はじまり

小説
Pocket

私の背中に手を添えて、部屋へ戻ろうと言うユキ君のシャツを掴んで引き留め、顔をのぞき込む。

「彼女、前に来た時は、何にしに来たの?」

「さあ? 部屋に入れたと言ってもトイレを貸してやっただけだし、すぐに呼んだタクシーも来たから」

話をさせる隙を与えなかった?
多分、ユキ君は彼女の気持ちに気付いている。
知らん顔しているのは、彼女が会社で働きにくくなると思ってのこと、なのだろう。

「ユキ君のこと好きだよね、多分」

「どうでもいいよ、それより」

ひょいとユキ君が私を持ち上げた。

「いきなり、何? ビックリするじゃない」

「帰るって言われたら困るから拉致ろうかと」

私は、ユキ君の首に腕を巻きつけてクスクス笑った。

「帰らないよ」

リビングへ移動、私を抱いたままソファへ腰を下ろした。
ユキ君に跨れば、目の前には、彼の盛り上がった胸が。
触れようとすると、手を握られ阻止。触らせてくれないつもりか?

「疑い、晴れた?」

「してないんでしょう? だったらもういい。それよりこの手、離してほしいんだけど」

ユキ君は、まだダメと言って手を離してくれない。

「舞以外の女に興味ねぇよ。他の女と遊ぶ時間があるなら、お前と会いたい」

私を喜ばせるセリフをサラッと言うなんて、ズルいな。

小説更新、諸々のお知らせはtwitterで

PVアクセスランキング にほんブログ村