「あのよ、俺は、洗濯したり料理したりする為に一人暮らし始めたんじゃねぇぞ」
「料理しろとは、言ってないでしょう。作っておくからチンぐらいしろって言ってんの。そんなの小学生でも出来るよ」
指で耳栓して聞こえないふりするユキ君。態度悪くないか? ちょっとムカついてきた。
「聞いてんの?」
クルリと背を向けるとビール手にリビングへ逃げて行った。お前は、子供かっ。
「ユキ君」
「舞、うるせぇ。説教するなよ」
「心配してるんだよ」
本当に心配だよ。
「気持ちは嬉しいけど。ホント、今忙しくて家の事までやる気になんねぇから。そのうち、余裕が出来たら教えてくれ」
「……そんなに忙しいの?」
「ああ。やること山積み。家帰っても仕事のことばっか考えてる」
そ、そうか。
「なんてな。まぁ、忙しいのは確かだけど。仕事のことでも考えてないと、寂しいつーか。無性に会いたくなるっしょ?」
ドキン。ユキ君が私の頬を指先で撫で下ろす。
「二人で住もうと思って借りたのに、一人で住んでるとか。この状況、結構辛いんだぞ」
「わ、私だって。……寂しいし、辛いよ。ユキ君に触れないもん」
「んじゃあ、触ってよ。俺も舞に触れたい」
うきゃーっ、昼間っから、エッチですかーっ。
ドキドキしてきたよ。