仲良しね、それをどうとっていいか分からない。
嫌味か?それとも……。
いや、ダメだ。勘違いしちゃダメだよ、舞。
顔はニコニコしているけど、腸煮えくり返っているかもしれないんだから。ここは、とにかく謝っておかなきゃ。
「す、すみません」
「由紀が酔わせて連れ帰ってきたのよ。気にしないで。それより、さっきはごめんね。いきなり水掛けられてビックリしたでしょう。一久には、注意しといたから」
お母さんがお父さんの肩を軽く叩き「ほら」と催促。お父さんは、手にしていた新聞を折りたたみ、テーブルの脇へ置いた。
眉をちょっと下げて、こめかみをポリポリ指でかきつつ、苦笑い。
「悪かったな。ちょっと悪ふざけ過ぎた」
「ホントですよっ」と言いたいけど、さすがに口には出せない、グッと飲み込んで笑顔だけ返す。
「顔洗う手間が省けました」
「はははは」
なにが受けたのか、お父さんが大きな口を開けて笑った。
「いいな、そのノリ。面白いな、名前は?」
「尾上舞です」
「よろしくな、舞」
はぅっ、呼び捨てされ、ズキュン。体の力が抜け、へたり込んでしまった。