私は公園の中を走っていた。
早く顔が見たい、早く会いたい。
その思いが私を走らせている。
体育館の重い扉を開けた。
かけ声と共にコートの中を走り回る男性たち、その中からユキ君の姿を探した。
いた!
びっしょりかいた汗、シャツの色が変わっている。
ユキ君が大きな声を出し、ボールを受け取ると走り出した。
ディフェンスを交わし、ジャンプ。
ボールはゴール枠をクルっと回転、網を潜り抜け。
高橋さんが「ナイス」とユキ君の背中を軽く叩く。
笑顔を見せるユキ君を見て、ほっとした。良かった、元気そう。
「舞?」
私の名前を呼んだと思った次の瞬間、ユキ君は鷹羽さんにボールを押しつけ、コートの外へ飛び出していた。
そして真っすぐ向かってきて、両手を広げると、私を抱きしめる。
久しぶりに触れたユキ君の体。あーん、ここがホテルだったら、全身触りまくるのに。
「店は?」
「お兄ちゃんが来て、かわってくれたの」
「知ってたら、練習休んだのに」
会いたかったのは、私だけじゃないのかも。
「練習して。私、二階で観てるから」
「分かった。じゃあ、後で」