恋の時間ですよ 第11章 嫉妬

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ボールを追いかけるユキ君はすごく楽しそうで活き活きしていた。まるで水を得た魚のように。
そしてそんなユキ君を見ている私も楽しくて、嬉しくて、やっぱ好きだなぁって。
ユキ君がゴールを決める度、こっちを見て手を軽く上げる。
だから私も小さく手を振って笑顔を返す。
見ているだけで幸せな気持ちにさせてくれる人。
あ、またゴール決めた、カッコいい。

「素敵、カッコいい」

ん?
私、声なんか出してないよね?

ふと隣を見ると白いウールのコート、胸元をチラッと見せる白のニットにブラウンのパンツ姿の美人がいた。
くせ毛で猫っ毛の私と違って、黒くて艶々のストレートヘアが印象的で彼女によく似合っている。
頬をほんのり赤くさせ、うっとりした目つきで。
その視線が追いかけているのは、ユキ君で。

しかも。

「ユキさーん、素敵ーっ」

大きな声で応援まで。
えっ、ユキ君。今、彼女に手を振らなかった?

美人なだけに心穏やかではいられない。
誰なの?

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