土方さんは、疑いの眼差しで私を見ている。こいつ大丈夫かなぁと思っているのかも。
「信用出来ないなら、別にいいですよ。言わなくても。その代り私も、合コンのことは教えられません」
「別に隠すようなことじゃないだろ」
「だったら、直接本人に聞けばいいじゃないですか」
土方さんは眉間にシワをいっぱい作って、黙り込む。それから暫くして、大きなため息をつき。
「学生だった頃、テニスクラブでコーチのバイトをしてたんだ」
「テニスのコーチ?本当に?」
へぇ、意外、とつい本音が口から出てしまった。部長は失礼だなと言い。
「ジュニアから高校までテニスクラブに所属して、そこそこ強かったんだぞ。小さな大会なら優勝したこともあるし。ユキに聞いてみろ」
「ユキ君に?」
私は首を傾げた。
「ユキも小学生まで、クラブ会員だったからな」
「そうなんですか。ユキ君、テニスも出来るんだ。可愛かったですか?昔から背も高かったんですか」
すっかり、興味がそっちへ向いてしまった。
「尾上さん。俺の話、聞く気ある?」
「あ、すみません」
ビューッと強い風が落葉をまき散らして吹き抜けていった。
さ、寒っ。
ううっ、温かったココアもすぐに冷めてしまったし、缶を持つ指先も冷たくなってきた。おまけにスカート、やっぱ無理。
「土方さん。あの、お話し長くなります?ちょっと・・・いえ、かなり寒いんですが。出来れば中でお話ししません?」
「俺、これから会議なんだよ。仕事が終わったらと言いたいが。八時まで帰れそうにないし、君も店があるだろう」
確かに、そうだ。私は、少し考えて。
「そうだ部長、仕事終わったらうちの店に来ませんか。あそこなら母しかいないし、その母も店が終わったら二階に上がっちゃうし」
部長を店へ誘った。