もやもやする。
店裏の駐車場へ向かう間、ユキ君の横顔を何度もチラ見。
やっぱりこのまま帰るなんて、無理。
足を止め、繋いでいた手を解き。
「どうした、忘れ物でもしたのか」と言うユキ君をじとっと見つめた。
「言って欲しかった」
口を尖らせている私を見て、キョトンとしているユキ君に、ちょっとだけ腹が立った。
「ユキ君からすれば、大したことないかもしれないけど。私は、部長から聞かされてビックリしたんだから」
不満を吐き出した。腹立たしいのか悲しいのか涙がじんわり、鼻の奥もツンと痛い。
「黙っているなんて酷い」
抑えれなくなった感情に声も大きくなる。さすがにマズイと思ったのか。
焦った様子でユキ君は、ごめんと何度も謝って手を合わせる。
「ごめん。悪かった。話すつもりではいたんだ。本当だって」
「もういい、知らない」
プイッとそっぽを向いて見せると。
「ま、舞ちゃん、ごめんて」
ユキ君は私の周りをグルグル。のぞき込んで顔を見ようとする。
「どうせ、大したことないんでしょう」
横目で彼を見て、拗ねた口調で言い、またそっぽを向いた。
「ちがっ、あれはその・・・・」
「言い訳無用」
「舞ちゃん、聞いてくれ。会社で会えない分、仕事帰りに会いに行けばいいって思ってたんだって。仕事は営業だし、自由が利くからこれからも昼飯は時々・・・舞ちゃん、ごめんて。毎朝、電話する。寝る前も、機嫌直して、な」
必死になっている彼を見たら。
「どうしようかなぁ」
顔がゆるんでしまう。
もう、可愛いんだから。