ユキ君のチームは大差で勝利、鷹羽さんがトロフィーを受け取り、チーム皆で記念撮影。私も観客席からバッチリ撮影しちゃった。
試合の後は打ち上げだと言う。
「舞ちゃんもおいでよ」
「でも部外者ですよ」
「大丈夫、大丈夫。俺も彼女連れていくし、家族連れで参加する奴もいるから」
「じゃあ、行こうかな」
突然、ユキ君にぐいっと腕を引っ張られた。
「鷹羽さん、俺らパスします」
えっ、えっ、私はともかくユキ君は行かなくていいの?
「じゃ、お先に。お疲れ様でした」
私の手を握って、スタスタ歩き出すユキ君について行くのは大変。だってコンパスの差が・・・・。
「ユキ君、どこ行くの?打ち上げ、行かなくていいの?」
「そんなの別にいいよ。今は舞と二人になりたい」
ドキッ、意味深な微笑みを浮かべている。まさか、この流れでホテルへ行こうなんて言い出さないよね。
立ち止まり、私を見下ろすユキ君。
「嬉し過ぎて、ほんとヤバい」
「ユキ君?」
「どこ行こうか」
「えっ」
「来週だよ。行きたい所とか、やりたいこととかある?」
行きたい所・・・。
「ユキ君と一緒ならどこでも」
本当にどこでも良かった。二人で過せるなら、どこでも。
「どこでも、か」
うーん、と悩むユキ君。
「車の中で一泊したっていいよ」
「車?すげぇ大胆な発言だな。初めてなのに、車でやりたいなんて」
「ちがっ、そうじゃなくて、二人ならどこへ行っても、どこで泊っても楽しいって言いたか・・・・」
季節は秋から冬へと変わり始めていた。冷たい風が吹く公園。足元で落葉がカサカサ舞っている。
だけど私は優しい温もりの中で、彼の心臓の音だけを聞いていた。