恋の時間ですよ 第6章 初めての

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「この辺りが言われた住所ですよ」

おじさんがカーナビを見て言う。それからコンクリート打ちっぱなしの大きな家の横に、タクシーをとめた。人影が近づいて来る。白いスウエットの上下を着たユキ君だった。

「お金借りるだけなんで、ちょっと待っててください」

タクシーのおじさんに声を掛けタクシーを降りた。

「ユキ君、ごめんね」

ユキ君は、「鈍くさいよな?」と笑ってポケットからお金を取りだし。

「おっちゃん、いくら?」

精算してタクシーを帰らせてしまった。

「ここからどうやって帰るのよ。いくら何でも歩けないよ」

「俺が送る」

「でも、これ以上迷惑掛けるのも」

気が引ける。上目遣いでユキ君を見つめた。

「やっぱ悪いよ?」

ユキ君は私の頭に手を乗せ。

「ホント、世話のやける女だよな。この貸しは、デカいぞ?」

笑って言った。

「お金は、ちゃんと返すよ」

ピンッと鼻の頭を指で弾かれた。

「あほ、深夜割増しついてんだぞ。きっちり体で返せ」

「か、体?」

「舞の一日、俺にちょうだい」

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