恋時間ですよ 第5章 Help

小説
Pocket

駅の周辺は暗く、何もない。客待ちタクシーすらいない。流しのタクシーを捕まえるにも、どこに行けばいいのか・・・・。

ふと、気になった。ここからタクシーで帰ったら、いったい幾らかかるんだろう。今しがた、乗り越しでICOCAに千円チャージして残金は、千円と小銭が少々。
素直に奢ってもらえば良かったと後悔した。

泣きたい気持ちでいっぱい。

おうちへ帰りたい。

そうだ、こんな時こそ頼れる人がいるじゃない。
お兄ちゃんなら、ブツブツ文句言いながらでも、きっと迎えに来てくれるはずだ。お兄ちゃんヘルプミー。ところが電話に出ない。そういや、確か12時過ぎたら電源切れるようにしてるって前に言ってたっけ。お母ちゃんに電話しても、やっぱり出ない。期待はしていなかったけど。

「帰れないよーっ。どうしたらいいの」

困った。朝までここで過ごすにしても駅の外にはベンチすらない。大阪駅ならカフェもあるのに。こんな見知らぬ駅で朝までどうやっていればいいの?無理だ、怖いよ。迎えに来てくれそうな友人を探そうと、スマホを握った。

すると画面にユキ君の名前が。えっ、私まだ何もしてないよね。手の中でブーンブーンと震えているスマホ。

「も、もしもし?」

『舞、俺。あのよ』

どうしていつもタイミング良く現れるのだろう。

「お願い、助けてっ」

小説更新、諸々のお知らせはtwitterで

PVアクセスランキング にほんブログ村