恋時間ですよ 第5章 Help

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「しかし、尾上ちゃん、強いね。酔ってないんじゃない?」

「そんな事ないですよ。結構きてます。ちょーっとだけですけどね」

「一人で帰れるか?タクシーで帰った方が」

心配そうにする部長。私は背筋をシャンと伸ばした。

「まだ早いですから、心配無用です。ここだと大阪駅が一番近いんですよね。環状線で帰ります。あ、精算は割り勘で」

「奢るのに」

「ダメです、ここはきっちり三等分でお願いします」

「じゃあ、尾上ちゃん2千円だけだして。残りは俺と部長が」

私は財布から5千円を出し。

「千円、お釣ください」

課長は苦笑い、結局2千円お釣をくれた。

ふわふわ、ほろ酔い気分でJRのホームへ向かう。それにしても料理も日本酒も美味しかったな。意外と日本酒も飲める口だったんだ、私。なんて思いつつ乗った電車。次の駅で前のシートに座っていた人が降りたので。

「ラッキー」

座らせてもらった。シートに座ってしばらくすると睡魔が襲ってきて、うつらうつら。

このとき、私はまだ気づいていなかった。酔っていたせいか、内回りと外回りを間違えていたのだ。でも、そこまでは良しとしよう。問題は、奈良や関西空港、和歌山方面へ向かう電車も環状線を走っていて、すぐにやってきた紀州路快速に飛び乗ってしまったのだ。その電車は天王寺から路線が変わり、日根野駅で車両が切り離され、そこから和歌山行と関空行に別れる。

いつの間にか爆睡していた。目が覚めて次の停車駅で飛び降りたのはいいが。

「えっ・・・どこ?」

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