正人さんはウサギさんの幼馴染で、親友だ。
それなのに、親友の彼女を口説くなんて、するだろうか。
そんなに私が魅力的……いや、それはないな。冷静になれ、ヒナ。
正人さんは私のこと、タイプじゃないって言ったじゃない。
じゃあ、なんであんなことを?
からかわれた?
それともテストされた?
そうだ、それならあり得る。自分の親友の彼女に私が相応しいかどうか、試してるんだ。
私は体の向きをかえ、正人さんと向き合った。
「私、頑張りますから」
「は?」
正人さんは目をパチクリ、ちょっと驚いているようにも見える。私は正人さんを押しのけた。
「正人さんの気持ちは分かりました」
「へぇ、そうなんだ」
何故か、正人さんの顔つきが変わった。口元に笑みを浮かべているのに、目が笑っていない。
「じゃあ、はっきり言っとくよ。俺は認めていないから、覚えといて」