「ちょっと、あれ誰よ。うちの社員?」
「見たことないわね。もしかして、彼女?」
「まさか、冗談やめてよ。ウサギさんの部署に配属された新人じゃないの?」
「確かに、新人っぽいわね」
「ウサギさん、部下を大事にする人だから。きっと悩み事があるんです。相談に乗ってください、とかなんとか言ってランチ誘ったんだわ」
「えーっ、ずるーい。私もその手使おうかな」
コンビニの敷地を出た途端、ウサギさんが私の手を握った。
さすがに慌てた。だって会社の前だよ、そんな堂々と手を繋ぐとか、無理。
ウサギさんの手を振りほどくと、それが気に入らなかったらしい。
ムッとした表情で私を見下ろしている。
「会社の人が見たら」
「困るの? 婚約者なのに?」