店を出て、裏通りを少し歩くとビジネスホテルが見える。ホテルなんてどこでもよかった。
どうせ、やっぱり無理と言って泣いて帰るにきまっている、そう思っていたから。
ところがヒナは、おどおどしながらも部屋までついてきた。
恋人でもない男に股を広げるような女だったのか。女は見た目じゃ分からないな。
まあ、いいや。それなら俺も気を晴らさせてもらうよ。
ヒナがシャワーを浴びている間に、冷蔵庫を開けた。
水の入ったペットボトルが一本とグラスが二つ、入っている。一階にコンビニがあったことを思い出し、部屋を出た。
赤ワインを一本買い、部屋に戻った俺は、ヒナがまだシャワーを浴びていることにほっとする。
部屋に俺がいなければ、不安に思うかもしれない、レジで金を払いながら、そんな心配をしていたからだ。
グラスにワインを注いだところで、バスローブをまとったヒナが出てきた。
ただ突っ立っている彼女は、戸惑っているようにも見える。
「飲む?」