こっちを向けと言わんばかりに鼻息荒くさせ、むくれた表情で俺を睨んでいる。
子供かよ。俺は苦笑いしつつ、髪をかき上げた。
「悪い、聞いてなかった」
「どうしたんだ、おかしいぞ」
「そうか? それより、スマホ返せよ。ヒナから電話が掛かってくるかもしれないから」
正人からスマホを奪い返し、テーブルに置いた。手に持っていたら、また奪われそうだろ。
だが、ついスマホへ視線が向いてしまう。
「さっき、出なかったんだよな。まだ寝るには早すぎるから、多分、風呂だと思うんだけど」
風呂上がりの姿を思い浮かべて、ニヤつく俺を見て、正人が眉間にシワを寄せる。
「裕也っ」