ウサギとヒナ 第六話 狙われた恋人

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 想定はしていた。先輩たちとのやり取りを見ていたわけだし。
 でも、どう返したらいいんだろう。

「プライベートのことだし、言いたくないなら答えなくてもいいよ。けど、もし誰かに俺と同じこと聞かれても、付き合ってないって言ってもらえなるかな」

 えっ、それって、真実はどうでもいいってこと?

「社内恋愛禁止、暗黙のルールなんだ。それにヒナちゃんだって、振られた時、周囲に知られていない方が都合良いだろ」

 振られる前提ですか。ちょっとムカつく。私は見えないように握り拳を作った。
 でも、内藤さんの言っていることは分からなくもない……。
 ギィ……重い扉の開く音に振り返ると。

「どう都合が良いのかな」

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