証明してよ、睨み付けて言うと、ユキ君はうんざりした顔をしながら片手でドアを開けた。
茶色くてストレートの長い髪の童顔な女性が立っている。
それにしてもいくら会社の人だからって、こんな時間に尋ねてくるって、どういうつもりなんだろう。
ユキ君に気があるのかな。
一人暮らしの男性の部屋を訪ねておいて、なんとも思っていません、なんてことあり得ない。
ちょっと可愛いし、抱きしめたら壊れそうなほど線も細いし、こんな子に迫られたら恋愛感情なくても……。
言い寄られて、へらへらしているユキ君の顔を想像してしまい、顔を上げ、ギロッとユキ君を睨む。
ハッとした。
ユキ君の顔つきが。
「飯島さん、こんな時間にどうした」
声が……私の知っているユキ君と違う。
会社で見掛ける結城社長や、真理さんと同じ目だ。
経営者の顔。
「伊藤君と近くで飲んでて、由紀さんの話になって。それで、ちょっと寄ろうって話に……お客さま?」
「彼女」
飯島さんの目が大きく開く。
「彼女……。日曜しか来ないって」
私がいないのを分かってて、訪ねて来たんだ。