腹が立つのと同時に泣きたくなってきた。
「酔っぱらって、家に上がり込むなんて、どんな女かと思われるじゃない」
「うちの親はそんなこと、思わねぇよ」
なにを根拠に呑気なことを?
「口に出さないだけで思うよ、普通」
どう考えてもだらしない女だと思うはず。
「別れろって言われるかも……」
呟きと一緒に零れた滴。ぽろぽろ、ぽろぽろ止まらなくて、さっきまで着ていたTシャツを掴んで、顔に押しつけた。さすがにユキ君も私が泣くとは思っていなかったらしい。慌てた様子で側へ寄って来て。
「な、泣くなよ」
困った顔して、おろおろ。
「本当は、もう終わりにしたかったの?」
それならこんな真似しなくても、言ってくれたら、私だって。
言ってくれたら……。
「うわーん」
しゃがみ込んで子供みたいに大泣き。
「別れたくないよーっ」
「は? なに言ってんの」
「だって終わりにしたいんでしょう」
「終わりたいなんて思ってねぇよ」
「嘘だ、絶対信じない」