「本気、じゃないよね?」
「本気だって言ったら?」
ごくり、唾を飲む。
「そういうのはもうちょっと長く付き合ってからにした方が良くない?お互い、まだ若いし、ね」
この状況から逃げたい一心で、ヘラッと笑って見せる。だけどユキ君の目は、笑っていない。
「これは予約って意味な」
キスと一緒に落とされた言葉が私を混乱させる。
「よ、予約?今夜の?」
意味深に笑う男。触れた唇が私を黙らせる。唇をなぞる舌、優しく髪を撫でる手、触れ合う体にゾクゾク。激しいキスにクラクラ、息が止まりそう。長いキスの後、カプッと鼻の頭をかじってきて。
「本当に予想外の女だよな。どう扱っていいか分かんねぇ」
「そうかな?」
自分では、至って普通のつもりなんだけど。私、おかしい?
「そこが、いいんだろうな。お前に振り回されるの結構好きだ」
「でも本当に甘えていいの?高いんでしょう?」
「それ以上言ったら、今すぐ犯して、ベッドへくくりつけるぞ」
「な・・・」
「今後は舞の言う通り、割り勘、ホテル代は俺持ち、舞は体で返してくれりゃあいい。それで妥協して。嫌ならゴム買いに行かせるぞ」
「ずるい。出来ないって分かってて言うんだから」
「どうすんの?俺の条件飲むならキスしてよ」
口を尖らせて、考えるふりをした。それからユキ君の首に自分の腕を巻きつけて唇を重ねる。
「妥協、してあげる」
目を細めて笑う彼。
「ありがとな」