恋の時間ですよ 第4章 最低!

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耳を疑った。ちょ、ちょ、ちょ、ちょっと待て。どういうことよ、それ。彼女?彼女がいたの?
グイッと腕を伸ばしユキ君を突き飛ばす。と言っても押した私の方が後ろへ引きさがっていたけど。

「ふっ、ふざけんなーっ」

怒りにまかせ、私は声を荒げる。

「あんたねー、彼女がいるくせに、何で私に抱きついているのよ。もう最低ーっ」

ちょっとでもこいつにドキドキした私があほだった。

「可愛くて、抱きしめただけだろ。それの何が悪い?」

「悪いわっ。自分の彼氏が他で別の女と抱き合っているなんて知ったら、彼女だって怒るよ」

「怒らねぇよ。だからいいだろ」

信じられない、マジで言っているのか?

「じゃあ、あんたは?彼女が他の男と抱き合っていたらどうするのよ」

「別に。彼女はそいつだけじゃないから」

「は?まさか何人もいるとか言う?」

「そんなたくさんはいないぞ。俺も忙しいから」

と言って指を三本立てた。こ、こいつ・・・・・・。グーでなぐってやりたい。唇を噛み、掌をギュッと握りしめる。

「なぁ、何で舞が怒ってんのか、よく分かんねぇんだけど?」

とぼけたことを真顔で言われ、ブチ切れ。

「あんたがこんな最低の奴だと思わなかった。もう二度と私に近づくなっ」

ふざけんな、ふざけんな。

「あ、おい。待てよ、舞」

無視だ、無視。私を呼び止めようとするユキ君を放って、家まで走って帰った。

もしかしてユキ君は、私のこと好きなんじゃないかって、心のどこかで思っていた。
一瞬でもそんなことを考えた自分が恥ずかしい。

悔しくて、悲しくて―――――
頬に伝わる涙を拭った。

 

第5章へ続く

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